出番のなかったK18ネックレスに、もう一度光を
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以前、少しだけ触れた「しばらく出番のなかったK18ネックレス」。
今回はそのネックレスを、ブレスレットとして生まれ変わらせる制作をしました。
長さは私の腕にしっくりくる約17cm。同じデザインで、あえて2本作っています。


一本でつければ、さりげなく。
二重にすれば、程よい存在感。
その日の気分や服装に合わせて、表情を変えられるようにしました。
「これひとつで完成」よりも、調整できる余白のあるジュエリーが心地よく感じられる気がしています。
思い出の金を溶かして、今の自分に合う形へ
今回使ったのは、
- 出番のなかったK18ネックレス
- 使っていないK18リング
リングは溶かして、丸カンを2つ、そしてプレート代わりになる少し大きめの楕円形の輪っかを2つ作りました。
元々ネックレスについていた丸カンも活かし、それぞれの両端に合計4つの丸カンを、10金ローでロー付けします。
そこに楕円形の輪っかと、引き輪を付けています。

「新しく買う」ではなく、持っているものを今の自分に合う形へ変える。この工程そのものが、今の年代にしっくりくる贅沢だなと感じます。
……と、ここまで書くと、まるで私がすべて一人で仕上げたかのようですが、実際には難しい工程は先生に助けていただいています。
私はいつも、手元で「魔法みたいだな」と眺めている側です。
目が見えにくい年代だからこそ、引き輪は“大きめ”
今回、強くこだわったのが引き輪のサイズとプレート替わりの大きな輪っか。

・目が見えにくくなったり
・ネイルをしていると、引き輪が留めにくかったり
ブレスレットは「素敵だけど、つけにくい」と感じる方も多いですよね。
そこで今回は、あえてやや大きめの引き輪を選びました。
そして一般的なプレートは付けず、代わりに少し大きめの輪っかを使うことにしました。


…が、ここで衝撃!!
直径7〜8mmほどのK18引き輪、ひとつ 7,500円!正直、驚きました。金の価格、高すぎますね…。
でも、出番のなかったネックレスが、「ちゃんと使える」「つけやすい」ブレスレットに変わったと思うと、価値はぐっと上がったと感じています。
二重にしても、きれいに収まる仕組み
2本作った理由は、見た目だけではありません。
二重にする場合、1本目をつけたあと、もう1本の引き輪を別の輪っかにも一緒に留めることで、バラバラになりません。さらに、重みのバランスで引き輪が表側に回ってくることもありません。


こういう「小さなストレスを減らす工夫」は、大事にしたいポイントだと思っています。
なぜ、リングやブレスレットは心を満たすのか
お稽古に通っている工房にジュエリーを持ち込まれるお客様から、よくこんな言葉を聞きます。
「ネックレスより、リングの方がつけていて嬉しいんです」
理由はシンプルで、目に留まるから。
キラッとしたものが視界に入るだけで、気分が少し上がる。実際、輝くものは脳に良い刺激を与えるとも言われています。
リングと同じように、ブレスレットもふとした瞬間に目に入るジュエリー。
私自身も、手元にリングやブレスレットがあるだけで、気分が華やぎます。
余談ですが、最近は高齢の母にも、「家にいる日でも、何かひとつ身につけてみたら?」と話すようになりました。
外出の予定がなくても、手元に小さな輝きがあるだけで、気持ちが少し前向きになる。
そんな瞬間が、年齢を重ねたからこそ大切なのではないかと感じています。
冬のブレスレットも、実はとても好きです
夏は腕が寂しくなるので、バングルやブレスレットはマストアイテム。でも実は、冬の長袖からちらりと覗く輝きも、とても好きです。
腕をまくり上げた瞬間に、さりげなく光るジュエリー。完全に自己満足ですが、その一瞬で気分が上がるなら、それで十分。
「誰かのため」じゃなく、自分のためのジュエリーでいいと思うのです。
年齢による変化を、隠すのではなく整える
40~50代になると、
- 指の関節が目立ってきたり
- 血管が浮き出てきたり
どうしても目がいきがちですよね。そんな時、ジュエリーは「隠す」のではなく、視線を分散させる役割を果たしてくれます。
目線が輝きに向くだけで、手元全体の印象がやわらぐ。これも、実際に身につけて感じていることです。
残りのチェーンから、次の楽しみへ
今回使ったネックレスは、あと数センチ分チェーンが残っています。
そのチェーンで、
- チェーンリング
- そして残りはチャーム
を作る予定です。


チェーンリングは、きちんとしたリングとはまた違った軽やかさがあり、指にのせるだけで、どこか肩の力が抜けた印象になります。
かっちりしすぎず、でもカジュアルになりすぎない。そんなバランスが、大人の手元にちょうどいいと感じています。
動くたびに揺れる表情や、リングを重ねづけした時の抜け感も魅力で、いつもの装いに少しだけ“こなれ感”を添えてくれる存在です。
チャームは、ネックレスにつけるだけでなくイヤーカフ、ピアス、ブレスレットにも使える形に。
私は昔から、ひとつで何通りも楽しめるデザインが大好き。
これからも、
「出番の多い」「長く付き合える」ものを、自分の手で少しずつ形にしていけたらと思っています。
サイズ感や使い方を決めすぎず、その時の気分や暮らしに合わせて調整しながら作れること。
こうした自由さを楽しめるのは、彫金を趣味としているからこそで、私にとってはその時間自体が、いちばんの醍醐味なのかもしれません。
