秋山 良枝
広島県生まれ。2歳から11歳までブラジルで過ごす。神戸市の大学を卒業後、5年間企業勤め。30歳で看護師免許を取得。
都内の大学病院勤務を経て子育て中に 子どもが中身を把握でき、自ら探せるポーチを手作りしたことがリバティ×リバティの原点。
2013年から制作活動を開始。看護師の経験を生かし、お子様からご高齢の方まで誰もが使いやすいポーチ作りに励んでいる。
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リバティについて調べていると、良く出てくるワードの一つに「アーカイブ」があります。今回は、その「アーカイブ」についてお話します。
リバティに少し詳しくなれる良い機会になると思います。
アーカイブ(Archive)とは、一般的に古記録、記録保管所などの意味があります。
リバティで使われるアーカイブ(Archive)という言葉は、リバティ社の過去150年間にわたるデザインのデータを保管しているプリントの参考ライブラリのことを指しています。
パターンブック、絵画、図面、写真などが収められています。
または、リバティ社に蓄積された過去のデザインそのもののことも「アーカイブ」と言います。
アーツアンドクラフツ運動や美的運動からバウハウスグラフィックなど、過去150年間にわたるリバティの画期的なデザインの歴史をたどることができるアーカイブは、まさにリバティの核心であり、魂と言えます。
リバティではアーカイブのことを「宝」と表現されています。
クラシックな小花柄、アール・ヌーヴォーのレイアウト、アヴァンギャルドなコレクションなど、約50000点にも及びます。
遺産と同じくらい革新のアーカイブは、常に更新され続けています。
リバティのアーカイブには、膨大な作品や資料が所蔵されていますが、その多くはあまり状態が良くありませんでした。それらは作業用のスケッチとして、もろい紙に描かれている事が多く、折りたたまれて印刷業者に送られたり、カラーテストのために切り取られている箇所もありました。
発見された時に破れてくしゃくしゃになった状態のものもありましたが、キャンバーウェル・スクール・オブ・アートの紙の保存コースの学生によって蘇り、保存されたものもあります。
余談ですが、こちらが学生により蘇って作られた柄「キャンバーウェル・ピーコック」です。作品名に学校名の一部が入っています。
英・リバティ社にはアーカイブの保管を担う部門があります。
デザインチームにとって非常に貴重なインスピレーションの源となるため、その全てのデザインを文書化したり、安全に保管する重要な役目を担っています。
各デザインは、オリジナルのアートワークや木版、ファブリックベースなど様々な形式で保管されています。古い物が多くて保存が鍵であり、「生きた物」として扱われているそうです。
実在する資料は、冷戦時代に造られた安全性の高い航空機の格納庫に保管され、洪水、火災、湿気、害虫、核汚染から保護されています。
たとえ爆弾が落ちたとしても、リバティのプリントアーカイブは生き残ることができます。
リバティのデザインの歴史を守り続ける人をアーキビストと言います。
アーキビスト( ARCHIVIST):資料などを収集、管理、保護する専門職の名前
デザイナーたちのインスピレーション源としていつでもアクセスできるように19世紀からの膨大なデザインをカタログ化し、さらに常に最新のアートワークも集め保管し続けています。
アーキビストによって監修されたコレクションが2021年に発表されるほど、重要な人材です。
そのカプセルコレクション「アーキビストズ・エディット」は、20年以上にわたりリバティのデザインの歴史を守り続けてきた伝説のアーキビスト「アナ・ブル-マ」により監修されました。
リバティのアーカイブの中でも特に珍しい、あまり知られていないコーナーに光を当てて展開されています。
こちらはほんの一例です。リバティの中では、少し珍しい柄が多いコレクションでした。
この「オペラ・カルーセル」は、1951年にフランスのデザイン会社がリバティ用に制作したデザインがベースになっています。
回転する船、宇宙船、花の間に描かれた動物など、この時代を象徴する楽し気なデザインと、少しエキセントリックな側面を持ち合わせたカンバセーショナルデザインです。リバティデザインスタジオによって新たに描き直されました。
Opera Carousel
アーカイブを知り尽くす人だからこそ、引き出せたデザインとも言えるのでしょう。
リバティプリントのデザインを担うアーティストたちは、アーカイブを調べることから作業を開始します。リバティのアーキビストとデザイナーは密接な関係で成り立っています。
デザイナーは、過去のパターンブックのデザインを丁寧に調べ、歴史的な時代の精神を受け継ぐアーカイブの作品に現代的な感覚を持たせていきます。
ドローイングやペインティングを施したり、いくつかの要素を取り除いたり、サイズを変えたり。その後、プリント工場の専門家チームのアドバイスを取り入れる等様々な工程を経て、一つのデザインが完成していきます。
これまでに発表されてきたリバティデザインは、このアーカイブからインスピレーションを受けてきたのは間違いないようです。
先ほどお話した伝説のアーキビスト「アナ・ブルーマ」の
「アーカイブを生かすには更新が必要です。アーカイブを引用し、新しいデザインに活かす。アーカイブはデザイナーにインスピレーションを与え、デザイナーはアーカイブに還元するのです。」https://www.liberty-japan.co.jp/features/design-and-living/1315
という言葉が印象に残りました。
たとえ、爆弾が落ちたとしても守られるアーカイブたち。
後世にどれだけの影響を与え続けるのでしょう。更なる発展が楽しみでしかありません。
参考サイト:
THE ARCHIVE BOOK | リバティ Liberty 公式オンライン (liberty-japan.co.jp)
THE ARCHIVIST’S EDIT | リバティ Liberty 公式オンライン (liberty-japan.co.jp)
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