秋山 良枝
広島県生まれ。2歳から11歳までブラジルで過ごす。神戸市の大学を卒業後、5年間企業勤め。30歳で看護師免許を取得。
都内の大学病院勤務を経て子育て中に 子どもが中身を把握でき、自ら探せるポーチを手作りしたことがリバティ×リバティの原点。
2013年から制作活動を開始。看護師の経験を生かし、お子様からご高齢の方まで誰もが使いやすいポーチ作りに励んでいる。
BLOG & INFO
#18Kリング #3連リング #40代からのジュエリー #50代からのジュエリー #K18ジュエリー #K24 #カルティエ #シルバー #ジュエリー作り #ジュエリー重ね付け #トリニティリング #ハンドメイド作家 #大人のジュエリー #趣味 #趣味時間
昔から、三連リングが好きです。
リングが重なり合い、指の上で静かに動くあの感覚。
ひとつの指に収まりながら、どこか奥行きを感じさせる佇まいに、長く惹かれてきました。
その中でも、やはり特別なのがカルティエ のトリニティリング。
「マスト ドゥ カルティエ」の時代のものを2つ持っています。ひとつは薬指用、もうひとつはピンキー用。どちらもクラシックモデル(MMサイズ)で、一本あたり約3.5mm幅。
左手の薬指と、右手の小指。同時につけることもよくあります。
ひとつでも十分に完成されているのに、他のリングと合わせても不思議と馴染む。主張があるのに、ぶつからない。25年以上愛用している理由は、きっとそこにあります。
3色のゴールドが使われていることで、どんな素材とも自然に調和する——それもまた、トリニティならではの魅力です。
トリニティリングが誕生したのは1924年。生み出したのは、ルイ・カルティエ。約100年にわたり、ほとんど形を変えずに愛され続けているジュエリーです。
それだけで、このデザインの完成度の高さが伝わってきます。
実は昔、ティファニー のシルバーの三連リングも持っていました。あまり知られていない存在ですが、とても使いやすく、よく身につけていたリングです。
けれど、いつの間にかなくしてしまって。ふとその記憶を思い出し、自分の手で三連リングを作ることにしました。
今回制作したのは、シルバー925の三連リングです。
三連リングは、サイズ調整がとても難しいリングでもあります。
3本のリングが重なる分、通常より大きめに作る必要があるからです。
まずは、つけたい指のサイズよりも約6号大きいサイズを目安に、リングを3本作るところから始めます。シルバーの地金を溶かし、叩いて棒状にし、ローラーで伸ばしていきます。

幅は約3.5mm、厚みは約2.4mm。そこから、かまぼこ型の当て金を使って、丸みのある断面に整えていきます。
それを目安のサイズになるように丸め、糸鋸で3つのリングに切り分けます。
それぞれをロウ付けしてきれいな円にし、鋭角な部分を削ってなめらかに整えていくと、3本それぞれが美しい“かまぼこ型”のリングになっていきます。
3本のリングが完成したら、そのうちの2本のロウ付け部分に、再び糸鋸で切れ目を入れます。そして3本を組み合わせて、一度三連リングの形に組み立てます。


ここで実際に指に通して、サイズ感を確認。
この「一度組んでみる」工程は、見た目だけでなく、着け心地を確かめるための大切な時間です。サイズやバランスに問題がなければ、いよいよ最終工程へ進みます。
最後の工程では、3本のリングを重ねた状態で、2本をロウ付けします。ロウ付けした部分をやすりで削って平らに整え、そこから再び、それぞれのリングの形を細かく調整していきます。
内側、側面、表側——全体を少しずつ磨きながら、形を整える作業。
特に大変だったのは、側面の“平らな部分”の幅を均一に整えることでした。ここが揃っていないと、横から見た時にリングがでこぼこして見えてしまうのです。
さらに、指なじみが良くなるように、内側や角の当たりも丁寧に削っていきます。
地道な作業ですが、少し削っては磨き、また確認して整える——その繰り返しで、少しずつリングの表情が変わっていきました。
そして最後は、バッファーで全体を磨いて完成です。


制作途中では、リングがとても重く、大きく感じていました。けれど完成してみると、不思議なくらい軽やか。
見た目も、着け心地も変わりました。指の上でコロコロと転がる感触は、長年愛用してきたカルティエ のトリニティリングと同じ。
「磨くだけで、こんなにも変わるんだ」と、驚きました。
20号で作ったリングが、3本重なり合うことで、14号の指にぴったり収まるのも、三連リングならではの面白さです。
ずっと欲しかった、人差し指用の三連リング。自分の手で完成させられたことが、とても嬉しく感じています。
特に夏になると、不思議とシルバーを身につけたくなります。白いシャツや、シンプルな服に合わせた時の軽やかさ。少し涼しげな光。
このリングも、これからたくさん出番が増えそうです。

ついでに、持っていたカルティエ のトリニティリング2本も磨き直しました。すると、数十年ぶりに新品のような輝きに。
長く使ってきたリングが、また光を取り戻した姿を見ていると、なんだかこちらまで心機一転したような気持ちになります。
三連リングは、それぞれが独立しているのに、重なり合うことで、ひとつのかたちになります。指の上でわずかに動きながら、光を受けて表情を変えていく。
その静かな変化が、長く愛され続ける理由なのかもしれません。昔好きだったものを、今の自分の手で作る。その時間は、過去と今を静かにつなげてくれるようでもありました。
これから、このリングにも少しずつ傷が増えていくと思います。
でもきっと、それもまた楽しみのひとつなのだと思います。
close