ウィローボウ(Willow Bough)|柳の枝に宿る、ウィリアム・モリス最高傑作の美しさ

テムズ川支流の岸辺に茂る柳の枝葉をモチーフにした、穏やかで完成度の高い名作デザイン。
ウィリアム・モリスの数あるデザインの中でも、時代や国を越えて愛され続けている柄のひとつが「Willow Bough(ウィローボウ)」です。
日本名は「柳の枝」。穏やかで自然体、それでいて完成度の高いこの柄は、モリスの自然観と美意識を色濃く映し出しています。
1887年、壁紙として誕生したウィローボウ
ウィローボウは、1887年に壁紙として発表されました。
その完成度の高さから評価は高く、8年後の1895年には生地としても制作されることになります。
モリスが着想を得たのは、彼のお気に入りの散歩道でもあったテムズ川支流の岸辺に茂る柳の木々でした。

ウィローボウのモチーフとなった柳の姿を思わせます。
重なり合う枝、風に揺れる葉の流れ、葉一枚一枚の形や向きの違い。
それらを丹念に観察し、いくつもの習作を経て、このデザインは完成しています。
テムズ川の記憶を伝える、メイ・モリスの言葉
次女メイ・モリスは、晩年にこう回顧しています。
「ある日、テムズ支流の小川のほとりを歩いていると、父が葉の形やディテールや多様性について説明してくれました。ほどなくこの壁紙ができあがり、よく観察され描かれたあの時の柳が、ロンドンの多くの家の応接間の壁を覆うことになったのです。」
この言葉からもわかるように、ウィローボウは想像上の装飾ではなく、実際に見た自然を、深く理解し、形にしたデザインなのです。
ケルムスコット・マナーで使われた、特別な柄
完成したウィローボウは、モリス自身の暮らしの中でも大切に使われました。
ケルムスコット・マナーにある、妻ジェーンの寝室に用いられていたことでも知られています。

それはこの柄が、見せるためのデザインではなく、日々を共に過ごすための、美しく静かな背景として生まれたことを物語っています。
有機的な生命力を感じさせる文様
ウィローボウの魅力は、
✔ 重なり合う茎が生む自然なリズム
✔ 優美に流れる柳の葉
✔ 繰り返しでありながら単調にならない構成
これらが見事に調和している点にあります。
細部までくまなく観察され、描き込まれた文様からは、植物がもつ有機的な生命力さえ感じられます。
派手さはありませんが、使うほどに心に馴染み、長く寄り添ってくれる――ウィローボウは、まさにモリスの最高傑作と呼ぶにふさわしいデザインです。
「自然とともに暮らす」というモリスの思想
モリスは「生活の中にこそ美を」という思想を持っていました。
ウィローボウは、その思想を静かに、しかし確かに体現している柄だと感じます。
ふと目にしたときに、気持ちが落ち着き、呼吸が整うような感覚。
それは、自然を深く理解し、人の暮らしに寄り添うことを目指したモリスだからこそ生み出せた美しさなのかもしれません。
ウィローボウを、ポーチというかたちで
今後、このウィローボウ柄を使った新しいモリス柄ポーチを展開していきます。

バッグの中で主張しすぎず、それでいて確かな存在感をもつデザイン。
毎日手に取るたびに、モリスの自然へのまなざしを感じていただけるアイテムになる予定です。
ラミネート素材ならではの扱いやすさと、ウィローボウの穏やかな柄が合わさり、実用性と美しさを兼ね備えたポーチに仕上げていきます。

流行に左右されない、一生ものの柄
130年以上前に生まれたデザインでありながら、現代の暮らしにもすっと馴染むウィローボウ。
それはモリスが、一時的な流行ではなく、人の暮らしそのものを見つめていたからこそだと思います。
静かで、誠実で、長く愛せる柄。
ぜひウィローボウの魅力を、日常の中で感じてみてください。
