秋山 良枝
広島県生まれ。2歳から11歳までブラジルで過ごす。神戸市の大学を卒業後、5年間企業勤め。30歳で看護師免許を取得。
都内の大学病院勤務を経て子育て中に 子どもが中身を把握でき、自ら探せるポーチを手作りしたことがリバティ×リバティの原点。
2013年から制作活動を開始。看護師の経験を生かし、お子様からご高齢の方まで誰もが使いやすいポーチ作りに励んでいる。
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ラミネートの商品を販売していて良く聞かれるのは
「ラミネートの生地は縫いにくいでしょ?」
「普通のミシンでも縫える?」
というご質問です。
確かに、布帛を縫うよりもコツがいりますが、慣れればさほど縫いにくくはないと感じています。
私は職業用ミシンを使用しています。ただし、以前は家庭用ミシンでも問題なく縫えていました。
今回は、家庭用ミシンでラミネート生地を縫う時のコツなどをお伝えしたいと思います。
以前「ラミネート生地とは?」で詳しく書きましたので、ここでは簡単にお伝えします。
表面に別素材のフィルムを貼って、防水効果や保温効果を高める加工を施した生地のことを言います。生地にはポリ塩化ビニル樹脂のフィルムが使われることが多いようです。
一般的に、ナイロンなどの化学繊維や、綿や麻などの天然素材の生地にラミネート加工を施します。
ポリ塩化ビニル樹脂の種類の違いにより、ツヤあり(光沢あり)とツヤなし(マット)の生地が存在します。
表面がエナメルっぽく、ツヤツヤして光が反射します。完成した際の見た目は高級感があります。
触ると少し抵抗感があります。そのため、ミシンで縫う時に生地がミシンの台や押さえ金の裏にひっついて、滑りが悪くなり目が詰まってしまいます。
光は反射せず、サラっとした手触りです。生地の表面に抵抗感がないためツヤありの生地と比較すると、布送りがスムーズです。特に初心者の方にはツヤなしの生地で縫うことをおすすめします。
ただし、次に伝えるコツを行うことは必須です。
個人的にはこれが一番オススメの方法です。
テフロン押さえとは、滑りやすい特殊な素材(フッ素樹脂)でできたアタッチメントのことです。上布と押さえの摩擦抵抗を軽減させるので、ラミネート生地だけでなくレザーを縫製する時にも役立ちます。
テフロン押さえは、家庭用ミシン、職業用・工業用ミシン専用などが1000円前後で販売されています。ご自身のミシンに合うものをお選びください。
またこの押さえは、使用頻度が高くなるとテフロンソリの部分が摩耗してきます。
摩耗がひどくなり凸凹ができてくると逆効果になりますので、滑りが悪くなってきたと感じたらソリ※部分のみを交換しましょう。
※ソリ:押さえ足のこと (画像で言うと、白い部分のこと)
生地の上にトレーシングペーパーを載せて縫うことで、押さえ金の裏と生地との滑りが良くなります。生地の表面とミシン縫い台との摩擦のせいで滑りが悪い場合は、生地の下にもペーパーを敷いてみてください。
縫い終わったら、横にペーパーをそっとひっぱって取ります。この方法は、かなりの量のペーパーが必要になり、ゴミが大量に出るので私には向いていませんでした。
トレーシングペーパーは、クッキングシートでも代用できます。
押さえ金の裏側部分と、ミシンの縫い台の生地が当たる部分にマスキングテープを貼ると、生地との摩擦抵抗がかなり減ります。ミシン台に貼る範囲はさほど広くなくても大丈夫です。試しながら少しずつ広げていくと良いと思います。
私は実際に使用したことはありませんが、700円前後で販売しています。押さえ金の裏側やミシン針にさっと塗れば、滑りにくい摩擦抵抗が減って滑りにくい生地もするする縫えるようになるそうです。
これと同様の原理だと思いますが、ベビーパウダーを塗ることをオススメする方もいらっしゃいます。香りや汚れの問題もあるため、総合的に考えてお試しください。
糸60番、針14番が一般的です。前述のとおり、目が詰まりやすいので縫い目の長さは3ミリほどの、大きめの設定にすると良いでしょう。
ラミネート生地は一度空いてしまった穴がふさがらないため、マチ針を使うことができません。クリップか、幅2ミリほどのしつけテープ(両面テープ)で生地同士を固定する必要があります。
また、生地の上に型紙を置いてカットする際、型紙のずれを防ぐためにマスキングテープを使って仮止めするのもオススメです。生地の中央にポケットをつける時も同様です。
更に、ラミネートにはチャコペンシルでラインを書くことができません。ポケットの中央部分に一本縫い目を入れて、ポケットを二つに分けたい時などには、縫いたい箇所にマスキングテープの端を合わせて貼り、直線のガイドラインを作るという方法があります。
マスキングテープの端を縫えばまっすぐ縫えるというわけです。縫い終わった後、テープを剥がすだけでOKです。
ラミネートは一度空いた穴はふさがりません。そのため、基本的には縫い直しはできません。
もし、同じ直線上を縫い直す場合は、1列に穴の数が増えれば増えるほど生地が破れやすくなりますので、最初に空いた穴それぞれにミシン針を通すくらい慎重に縫い直してください。
バッグやポーチを作る際、表に返す工程があります。その際に生地をコンパクトにまとめて、返し口に入れ込む必要があります。その工程でラミネート生地にどうしてもシワが寄ってしまいます。一度ついた折り皺はなかなか取れません。特に白地の生地の場合は折れ筋がより目立ちやすくなります。
そこでおすすめなのが、ひっくり返す前にラミネート生地を少し温めることです。
冬であれば床暖房の上にポーチやバッグを置き、その上に厚手の生地をかぶせて数分置いておくだけで十分温まります。
その他の季節であれば、ドライヤーで少し温める方法もあります。
全体的に生地が温まって、ややふにゃっとしたかな?という程度で大丈夫です。温めてからひっくり返すとシワがほとんどつきません。シワが気になる方はお試しください。
ただし、この工程は夏の冷房なしの部屋では不要です。すでに生地が柔らかい状態です。
少し話がずれますが、リバティのラミネート生地を扱っていると、時々柄の上下を判別しにくいことがあります。リバティ生地の場合は、基本的に生地の耳部分(端)にプリントされている「LIBERTY」という文字の「L」部分が上に来るようにすることで分かります。
カットされていて耳部分がない場合は、販売先やリバティの公式本等で調べるしかないと思います。
ですが、厳密には柄が上下逆さまになっていても問題なく縫うことができますし、好みで決めて構わないと思います。
極端なことを言うと、ラミネート加工しているものは伸びませんので、斜めに生地をカットして使っても問題ありません。(布帛等他の生地の場合は、バイアス裁ちは特別な用途に使います。)
実際に、当ショップの妹ブランドF×f(エフエフ)では、ラミネート生地をわざとバイアス方向に使用して小物作りをしています。ここで初めて言いますが、一番のこだわりポイントです。でも、この裁断方法は無駄な生地が大量に出てしまいます。
これまでラミネート生地についてお話してきましたが、透明のビニール生地(クリア生地)も縫いにくいのでしょうか?
結論から言うと、ビニール生地もそのままでは非常に縫いづらいです。ただし、ラミネート生地とほぼ同じ対応で縫うことが可能です。ちょっとしたコツをお伝えします。
経験上、ビニール生地が厚ければ厚いほど縫いにくい気がします。ですので、初めてチャレンジする方は0.25ミリ以下の厚さのビニール生地から試してみると良いと思います。
ビニール同士をこすってみて、お互いがひっついてしまうものは縫いにくいことが多いです。ビニール同士がひっつかず、するすると滑り合うものの方が縫いやすい生地です。こする際は、ビニール生地の同じ面同士を軽くこすり合わせてみてください。
ビニール生地は、ひっくり返す工程でラミネート生地よりも更に折れ跡がつきやすい性質があります。折れたり、しわが寄った部分が白っぽくなり、クリア部分に傷跡が残ってしまいます。
ラミネート生地同様に温めてからひっくり返すことが大切です。温めすぎるとフニャフニャになってしまい、必要以上にシワが寄ります。冷めていく過程で、そのシワがそのまま記憶されてしまいますので、注意が必要です。
少しコツがいるため、初心者さんは夏頃から作り始めて、ビニール生地のクセに慣れると良いかもしれません。
ラミネートの縫い方について少しお分かり頂けたでしょうか。以上のことに気を付ければ、家庭用ミシンでも十分にラミネート生地もビニール生地も縫うことができます。気張らずに、楽しんでオリジナルの作品を作ってみてください。
当ショップでは、リバティのラミネート加工生地とビニールを掛け合わせたポーチを多数販売しています。商品はこちらからご覧いただけます。
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[…] ザンジーサンビームは、柄の向きが分かりにくいと個人的に感じています。以前にリバティの生地の上下の見分け方についてこちらで書きましたが、簡単におさらいします。 […]
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